【人材不足解消!】ベトナムから介護人を集え!
日本は、平成22年(2010年)に人口の65歳以上の割合が21%を超えて、
超高齢社会に突入しました。
いわずもがな、高齢者の割合は年々増加していきます。
加えて、少子化も問題視されている時代。
平成27年(2015年)には、高齢者1人を現役世代2.3人で支えているのが現状です。
そんな中、介護を必要とする人々は増え、介護する側の人手不足が叫ばれています。
しかし、介護の現場はそう甘くはありません。体力・忍耐力が必要で、夜勤や休日勤務ももちろんあります。
ですが、介護福祉士の給料は低賃金で、需要に追い付いていないのが現実です。
そこで今回は、日本で介護の働き手が足りないのであれば、働く意欲のある外国人を受け入れれば良いではないか!というご提案です。
その中でも、今注目のベトナム人の受け入れについて、ご紹介したいと思います。
もくじ
悩ましい介護人材。海外に「介護」を広め、人財を育成する
年々、介護を必要とする人は増えていく中、介護保険制度も改正されるに従って、介護人も増加しています。
しかし、現状では、介護福祉士の資格を持っている人の半数程度しか実際の現場に従事していないのです。
日本人でも目標ややりがいをもって介護の現場に就職をしても、過酷な労働や労働に見合った給料をもらうことができずに、離職する介護福祉士も多くいます。
そんな先の不安な介護現場において、今後益々介護の人手が必要となることを見据え、政府でも様々な取り組みがなされているのをご存じでしょうか?
平成20年度にはインドネシア、平成21年度にはフィリピンから、そして、平成26度にはベトナムから、外国人の看護師・介護福祉士候補者の受け入れを開始しました。
ただ単に、働き手を確保するために外国人を受け入れているのではなく、現地で3年もしくは4年間、看護の勉強を行った者に対し、一定条件を満たすための日本語研修や専門知識研修などの教育を行い、日本に受け入れます。
そして、日本の介護現場で働きながら、国家資格取得を目指す体制を整えているのです。
外国人労働の介護を理由とした来日は、制度によって3年~5年と定まっていますが、日ベトナム経済連携協定(EPA)に関しては、国家資格取得後、永続的な滞在が可能となります。
また、外国からの介護人を受け入れる場合は、
・日ベトナム経済連携協定(EPA)に基づき受け入れる場合
・技能実習生(JITCO 公益財団法人 国際研修協力機構)として受け入れる場合
・在留資格を「介護」で取得する場合
とで、多少就労期間や条件が違ってきます。
ベトナム人介護人材の需要の高まり
公益財団法人国際研修協力機構(JITCO)で受け入れを実施しているのは、28年度末時点で15か国(中国・フィリピン・インドネシアなど)。
その中でも、ベトナムは38.6%を占め、中国を抜いて1位になりました。
ベトナムから介護福祉士候補者の受け入れを開始した平成26年度から、人数も117人→138人→162人→181人と年々増え続け、平成29年9月時点で、延べ598人に達しました。
ではなぜ、こんなにもベトナムからの受け入れが増え、注目されているのでしょう?
ベトナムは、日ベトナム経済連携協定において、元々受け入れを開始していたインドネシアやフィリピンに比べ、日本語能力試験N3(日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できるレベル)をクリアしているという条件があることや、ベトナム人の人柄・特徴なども影響してか、日本企業においては、需要が高まってきているといえるのではないでしょうか。
ベトナム人の技能実習生の特徴
ベトナムと日本の関係においては、以前から日本が政府開発援助(ODA)としてベトナム経済に貢献してきたこともあってか、親日家が多いとされています。
そして、前にも述べましたように、ベトナム人の技能実習生は、他国に比べ、日本語能力に関しての基準が高いことから、コミュニケーションの取りやすさがあります。
また、ベトナム人の特徴として、勤勉で努力家ということが挙げられます。
だからこそ、彼らは多大な努力や移住をしてまで、日本に働きにやってきます。
実際、成績優秀で、ベトナムの一流企業に勤めることができたとしても、日本の給料とは雲泥の差で、彼らはより高い給料や知識技術を習得するために日本に来るといった意欲ある若き人材といえるでしょう。
性格的なことを言えば、ベトナム人はとにかく優しく、気が利く、年上を敬う、コミュニケーションを積極的にとる、といった介護現場では、もってこいの適性です。
しかし、大雑把で、プライドが高い一面もあるため、指導は一つ一つ丁寧に教えたり、人前で強く注意しないようにするなどの工夫が必要になってくるかもしれません。
ベトナム人介護人材を受け入れる際に注意したいこと
ズバリ!!失踪です。
夢や希望を持って、日本にやってくるベトナム人にとって、やはり現実は辛く、厳しいこともあります。
生まれ育った国を離れ、コミュニケーションもままならない所で働くことから、時には逃げ出したくもなります。
「失踪するなんて、やっぱり外国人は…。」なんて思ってはいませんか?
ですが、よく考えてみてください。失踪するほど、働く環境がつらく、耐えられなかったのかもしれません。
介護福祉士候補者として日本にやってきているベトナム人は、語学・専門知識の勉強を一定レベルに達するまで行い、並々ならぬ努力をしてきています。
もちろん、国や文化が違えば、コミュニケーションが難しい場面もあるでしょう。そんな場面で、私たち日本人が、助け合いの精神で優しい言葉をかけてあげられるでしょうか?
外国人労働者だからといって、日本人との賃金格差をつけようとしていないでしょうか?
一定条件をクリアしてきたベトナム人に対しては、日本人同様の賃金を支払い、助け合いのできる、働く現場作りをしていけば、問題視されている“失踪”は問題にはならないと思います。
もちろん、外国人技能実習生に対しても日本の労働基準関係法令は適応されるため、悪質な労働環境や低賃金労働は違反とされ、罰せられます。
また、知っていかなければならないこととして、ベトナム人を受け入れるにあたっては、受け入れ施設の要件が定められています。
・施設の規模や形態
・職員数(介護福祉士資格の有無)
・介護福祉士候補者の宿泊施設の確保や帰国旅費の負担
などですので、確認が必要ですが、上記2つの要件は日本でも介護福祉士を目指す学生を受け入れている施設は概ねクリアできるかと思われます。
受け入れのメリット
ベトナム人を日本の介護現場に受け入れるメリットとしては、やはり一番は人手不足の改善につながることでしょう。
年々、介護福祉士不足が深刻となる中、日本で介護福祉士として働きたいとやってくるベトナム人はとても有望といえます。
また、勤勉で努力家であるベトナム人を雇用することにより、周りのスタッフの意識も変わり、プラスの効果を発揮することも少なくはありません。
また、ベトナム人を雇用することによって、厚生労働省から職場定着支援助成金(介護福祉機器助成金コース・介護労働者雇用管理制度コース)などの助成金を受け取れることもあります。
まとめ
いかかでしたか?
日本の介護現場での人手不足にベトナム人を起用する。目から鱗でしたが、政府からのバックアップもありますし、研修体制も整っているので、思いのほか、不安に思うことはないのかもしれませんよ。
年々日本には外国人労働者が増加してきています。
介護の分野でも、外国人を雇用することが当たり前になる世の中もそう遠くはないかもしれません。
日本人の助け合いの精神と、ベトナム人の良い国民性を融合させ、介護現場の危機を救い、相乗効果をもたらすかもしれません。