2019年対応 よくわかる外国人介護職の受入について

政府が介護ビザを新設したことによって、昔よりも外国人が介護施設で働きやすい状態になりました。そのことによって、外国人介護職員の存在も介護業界の話題となっています。人手不足が叫ばれている介護業界にとって良い兆しになれば良いのですが、言葉も文化も違う外国人と一緒に働くとなれば不安になるのは当然です。ましてや介護職となれば、職員同士の連携が不可欠ですからね。

今回はそんなたくさんの不安を抱えるあなたのために、外国人介護職員の今と昔の変化、これからの課題、そして受け入れる側の姿勢についてお教えします。

そもそも外国人介護職って?

読んで時のごとく「外国人介護職」というのは、外国人の介護職員のことですが、そもそもなぜ今のタイミングで外国人介護職が話題になったのか不思議ですよね。外国人介護職が注目される理由、門戸が広がった理由を簡単に説明しましょう。

今後の労働人口推移

2015年のデータになりますが、この時点で厚生労働省は2025年度に約38万人の介護職員の人材不足が発生するという推計を出しています。

介護保険法が施行されたのが2000年です。2000年の介護職員の数は、常勤・非常勤合わせて54.9万人であり、それから10年後の2010年には133.4万人まで増加しています。

これだと「介護業界にも人が増えてよかったね。」という明るい話になるのですが、この推移と平行線をたどるような形で要介護認定者数も増えているのです。その数は、2000年時点で218万人、2010年時点で487万人となっています。

介護保険法が施行された2000年の時点で、介護業界はすでに人材不足に悩まされていたのです。仮に介護職員が増加しても、それと同じペースで要介護認定者数も増加したため、結局今でも人材不足が解消されておらず、これからさらに人材不足が加速すると考えられています。

あなたが働く職場でも、介護業界の人材不足を肌で感じていませんか?

在留資格制度が多様化

介護業界の人材不足を解消するために、政府が目をつけたのが外国人労働者です。外国人が日本で働くには、職種にあった「就労ビザ」を取得し入国、その後「在留資格」を認めてもらう必要があります。

2017年までは、「介護」の就労ビザ、在留資格が存在していなかったため、日本の介護施設で働ける外国人はごくわずかでした。しかし、日本政府が2017年に介護の就労ビザを新設したことによって、日本の介護福祉士の国家資格を取得している外国人であれば、就労ビザ、在留資格を取得し、日本の介護施設で働けるようになったのです。

だから今、外国人介護職が話題になっているわけです。

外国人を受け入れる課題とは

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外国人介護職員が増えて、人材不足が改善されるのは良いことです。しかし、外国人を職場に受け入れるためには、いくつかの課題があります。その課題こそ、あなたが今抱いている「言語の壁」「文化の壁」といった不安要素なのです。

文化面

外国人と一緒に働くと聞けば、どんな職種でも真っ先に言葉の不安がよぎります。日本で働くわけですから、外国人職員が日本語をしっかりと覚えてきてくれるのかというとそうでもありません。

中にはペラペラの日本語を喋れる外国人介護職員もいるかもしれませんが、多くは片言でしょう。職員同士であれば、片言の日本語でもなんとかコミュニケーションを取れるかもしれません。しかし、介護職は職員同士だけでなく、「職員」対「利用者」のコミュニケーションも重要です。

国際化が進んでいるとはいえ、今介護施設に入っている、これから入る高齢者の方の中には、まだまだ外国人との言葉の壁を厚く感じる人が多くいるはずです。

言語面

言語面の課題をクリアできる優秀な外国人介護職員が就労したとしても、まだ課題は残ります。それが「文化面」です。私たちは日本に生まれ、日本人として過ごす中で、日本人らしい文化を身につけています。それはわざわざ言葉にするほどのものではなく、私たちにとって「当たり前」のことなのです。

しかし、全く異なる環境で育った外国人にとっては、理解できない日本の文化も数多くあるはずです。文化が違えば、職員間だけでなく、利用者とのトラブルも起きかねません。仮に文化の違いがきっかけでトラブルが起きて「日本ではそれはいけないことです。」と教えても、外国人介護職員からすれば納得できないと思うことも多いでしょう。

外国人介護職を受け入れる準備とは?

「言語面、文化面は大丈夫だろうか…。」と不安をもらしても、あなたの介護施設にいずれは外国人介護職が就労するかもしれません。それなら、外国人介護職をしっかりと受け入れるための準備を整える必要があるでしょう。

相手の慣習的文化を知ろう

これまで全く異なる環境で育ってきたわけですから、文化の違いは当然にあります。大切なのは、お互いに相手の文化を知っておくことです。「外国人が日本で働くのだから、外国人が日本の文化を勉強してほしい!」という考えはよくありません。

もちろん、日本の職場、ましてや高齢者がいる職場で働くわけですから、日本の文化を知ってもらい必要な部分は合わせてもらわなければいけません。しかし、日本人側も相手の文化を知ろうとしないといけません。

相手の文化を知るということは、相手との違いを知るということ!事前に違いが分かっていれば、職員同士、そして高齢者とのトラブルも未然に防ぎやすくなりますよね。ハッキリ言って外国人介護職を受け入れれば、必ずなんらかのトラブルは起きるでしょう。しかし、相手の文化を知っておくことで1日に10個起こる可能性があったトラブルを、7個、5個と減らすことはできます。

これを積み重ねて少しずつでもいいのでトラブルを減らしていけば、いずれ外国人介護職はあなたの介護施設の大切な戦力となるでしょう。

地域文化を触れ合う機会をつくろう

相手の文化を知るだけでなく、もちろん日本の文化を知ってもらうことも重要です。介護に直接関わる食などの文化に触れてもらうのは大切ですが、直接関わりのないような日本ならではの行事などにも積極的に触れ合ってもらったほうが良いでしょう。

地域文化との触れ合いで日本人ならではの考え方、物事の捉え方といったものを理解するきっかけになるかもしれません。

社内職員への受入講習を行おう

これを読んだあなたが、これから就労する外国人介護職員を受け入れるために準備するのは良いことです。しかし、あなた一人が準備をしても意味がありません。介護施設で働く職員全員が「これから外国人介護職員と一緒に働くんだ!」という意識をしっかりと持たないといけません。

そのためにも、職員を対象にした受入講習を行うべきです。講習で行うべき内容はたくさんあるでしょう。「ただでさえ人不足で忙しいのに、受入講習を行う時間なんてない!」と考える人もいるでしょう。しかし、日本人側が不安だと思っている以上に、外国人介護職員はもっともっと不安なはずです。そんな不安の気持ちを抱えている職員を受け入れる姿勢、サポートする姿勢がなければ、介護業界に入った日本人がすぐに辞めていくように、外国人も辞めていってしまうでしょう。

まとめ

いかがでしたか?
外国人介護職を受け入れることには、どの介護施設だって抵抗があるものです。しかし、すでに外国人介護職を受け入れて言語や文化の壁をうまく乗り越えながら、立派な戦力として働いていもらっている施設があるのも事実です。
実際に外国人介護職を受け入れるとなれば不安は尽きませんが、できる限りの受入準備をしてお互いにひとつひとつ理解し合いながら働ける職場を作ってみましょう。

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