サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)と有料老人ホームの違いとは…?
自分の親を施設に入居させるときが近づいているあなたは、サ高住や老人ホームの違いが良く分からずに困っていませんか?
親の介護の選択肢として、施設入居を検討する人は少なくありません。できることなら施設で生活する親にとって、住みやすい環境を用意したいですよね。そのためには、サ高住と有料老人ホームの違いをしっかりと理解しておく必要があります。
サ高住は、要介護度が軽度の人や自立した生活を送れているものの、高齢になり日常生活に不安を感じている人に適した施設です。有料老人ホームは、介護付、住宅型、健康型の3種類があり、それぞれ介護面、生活の自由度など特化している点があります。
今回は、サ高住と有料老人ホームの違いをわかりやすく解説していくので、施設選びの参考にしてくださいね。
もくじ
そもそも、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅) とは?
あなたは介護施設について調べ出して、初めて「サ高住」という名前を耳にしたかもしれませんね。昔ながらの老人ホームと比べると、サ高住の知名度はあまり高くありません。
サ高住は「サービス付き高齢者向け住宅」の略称であり、他にも「サ付住宅」と呼ばれることもあります。2011年に「高齢者住まい法」に基づき導入された形態であり、導入からあまり年数が経っていないため、名前を知らなかったというのも無理はないでしょう。
サ高住は、主に原則自立、もしくは軽度の介護を必要とする人を対象とした高齢者向けの賃貸住宅(中には介護度が高い高齢者を受け入れているケースもあります)であり、建物がバリアフリー化されています。
ただの賃貸住宅ではなく、「安否確認」と「生活相談」のサービスが最低限ついており、高齢者でも安心して生活できる環境が整えられているのが特徴ですね。「自立できて身の回りのこともある程度問題なくできるけど、一人(夫婦)で生活していくのは少し不安だわ…。」という高齢者にぴったりな施設となっています。
サ高住は、厚生労働省が定めた「特定施設」の指定を受けている「介護型」と、指定を受けていない「一般型」があります。
介護型は、建物に介護職員が常駐しており介護サービスなどを受けられるため、要介護度の高いにも対応できます。
一般型は、日中は常駐しているスタッフが利用者の安否確認や生活相談といったサービスを提供します。夜間はスタッフが常駐しないケースも多いですが、緊急通報システムによる対応をするという特徴があります。
また、食事や洗濯といった生活支援、入浴や排泄といった介護サービスを受けたい場合は、入居者が自分に必要なサービスを外部の事業所と個別に契約しなければいけません。
有料老人ホームとは
今回、サ高住の比較対象となる有料老人ホームは、主に民間企業が運営に携わる施設であり、介護付、住宅型、健康型の3種類に分類されます。それぞれの特徴を紹介しましょう。
介護付
介護付き有料老人ホームは、その名の通り介護サービスが充実している有料老人ホームのことです。定められた人員・設備・運営の基準をクリアすることで「特定施設」の指定を都道府県(もしくは市町村)から受けており、入居者は介護が必要であればホームが提供する介護サービスや日常生活のお世話を24時間受けられます。
住宅型
住宅型有料老人ホームは、介護付き有料老人ホームのように特定施設の指定を受けていません。施設によって提供されるサービス内容は異なりますが、ホームから提供されるのは食事や緊急時の対応、日常生活の支援、レクリエーションなどとなっています。
介護サービスを利用したい場合は、住宅型有料老人ホームとは別に個別で事業所と契約し訪問介護や通所介護を利用することになります。
健康型
健康型有料老人ホームは特定施設の指定を受けておらず、健康に不安のない高齢者を対象とした老人ホームです。対象者の健康に不安がないわけですから、スタッフによる見守り、食事、掃除、洗濯といったサービスがありますが、基本的に介護サービスはつきません。
老人ホームと名前がつくとすぐに介護を連想しますが、健康型の場合は自立して生活している高齢者がほとんどの家事を施設スタッフに依頼して、施設の図書施設やスポーツジムなどの充実した設備を利用したり、より充実したシニアライフを実現してもらうための施設とイメージすると分かりやすいですね。
介護が必要となった場合は、施設を退去しなければいけないケースがほとんどです。全国的にも施設数が極端に少ない上に、老人ホームなどの施設を検討するのは大抵が介護が必要になってからなので、健康型有料老人ホームを選択肢に入れるという人は少ないでしょう。
サ高住と有料老人ホームの違い
サ高住と有料老人ホームについておおまかな説明をしてきましたが、もう少し細部の違いを紹介していきましょう。
設備
サ高住は居室の広さが原則25㎡以上という基準があり、夫婦での生活を意識した広い居室が用意されていることもあります。一般的な集合住宅と変わりのない設備になっているように見えますが、随所がバリアフリー化されており高齢者が過ごしやすい環境が整っています。
施設によっては、レストランや温泉、カラオケルームといった共有スペースの設備が充実しているところもありますね。
有料老人ホームの設備はそれぞれ異なりますが、介護付は万全の介護体制が整えられていることから、居室、食堂や浴室とった共有スペース、さらには洗濯室、健康管理室、機能訓練室といった生活に欠かせない設備が整っています。
住宅型と健康型は、特に入居費用によって施設の設備の充実度も変わるので、希望する施設の下見は入念にしたいですね。
入居条件
サ高住の入居対象者は、60歳以上の高齢者、もしくは要介護認定を受けた60歳未満の人となっています。比較的元気な人を対象にしてはいますが、中には要介護度の高い人を独自に受け入れている施設もあります。
有料老人ホームは、介護付であれば原則として60歳以上の自立している人から要介護状態の人まで幅広くカバーしています。住宅型と健康型は、60歳以上で自立している人から要介護が軽度の人までを対象としているケースが多いですが、健康型は入居後介護が必要になれば退去する必要が出てくることは頭に入れておきましょう。
費用
施設の利用を検討する場合は、どのくらいの費用がかかるのかはとても気になるポイントですよね。
サ高住では、契約時の初期費用として数十万円程度、月額費用は5~25万円ほどを想像すると良いでしょう。ただし、施設によって倍以上の費用が必要になることもあります。
介護付、住宅型、健康型は月額費用が15~40万円ほどとサ高住とあまり変わりませんが、初期費用(入居一時金)として0~数千万円ほどかかるケースもあります。費用の平均を求めようとするとどうしても振り幅が広くなりますから、気になる施設の費用を実際に確認したほうが費用のイメージをしやすいでしょう。
契約
以外に思われるかもしれませんが、サ高住と有料老人ホームでは契約形態に大きな違いあります。サ高住は見守りサービスなどを受けられますが、契約としては一般的な住宅の賃貸契約です。
有料老人ホームは「利用権方式」といって入居前に入居一時金を支払い施設利用の権利を得る契約形態が一般的です。
受けられるサービス
入居を考えている人にとって、実際にどんなサービスを受けられるかは重要なチェックポイントです。
サ高住では、最低限見守りサービス(職員による部屋の巡回)や生活相談サービス(ケアの専門家が対応)を受けられることになっています。さらに、施設によっては食事の提供や買い物代行など介護サービス以外の多くの支援サービスを提供しています。
介護サービスが必要な場合は、外部の介護サービス事業所と契約を結ぶのが特徴的ですね。
介護付有料老人ホームは、入居しているだけで排泄、入浴、着替えなど手厚い介護サービスを受けられますが、その分生活の自由度はサ高住や他の有料老人ホームに比べると下がります。
住宅型の場合は、自ら必要となる生活支援サービス、介護サービスを選択して、自由に組み合わせるのが特徴です。健康型も身の回りの支援サービスが充実していますが、そもそも介護サービスを利用する環境にはなっていません。
サ高住のメリット・デメリット
自分の親に合った施設を選択するには、それぞれの施設のメリット・デメリットを押さえておくことが大切ですよね。サ高住のメリット・デメリットをまとめておきましょう。
サ高住のメリット
サ高住の最大のメリットは、制限のない自由な生活を送りやすいという点でしょう。サ高住であれば自分の好きな時間に食事や入浴ができますし、外出、外泊も自由です。
自由という点では健康型有料老人ホームも魅力的ですが、健康型はそもそも数が少ない上に介護サービスは利用できません。
サ高住であれば、外部の介護サービスと契約が可能なので、少々介護が必要であったり、自立した生活に不安が残るという人でも自由な生活を送りやすいのです。
また、有料老人ホームと違い高額な初期費用もかからないので、入居しやすい点は非常に魅力的ですね。
サ高住のデメリット
基本的には施設スタッフによる介護ケアが行われないので、介護サービスが必要であれば別途契約しなければいけません。介護サービスを良よく利用する人であれば自己負担額が増えて生活が苦しくなるかもしれません。
また、入居後に要介護度が高くなると生活が難しくなるため、退去する必要も出てきます。
有料老人ホームのメリット・デメリット
有料老人ホームにも、もちろんメリットとデメリットがあります。3タイプの有料老人ホームを紹介してきましたが、ここでは利用者の多い介護型と住宅型のメリットとデメリットを紹介しましょう。
有料老人ホームのメリット
介護付の場合は、24時間体制で手厚い介護ケアを受けられるため、利用者の安心感は高いですね。さらに、定額制の介護費用も嬉しい点です。
住宅型の場合は、自分に必要な介護サービスを選択できるため、使い方によっては介護費用をぐっと抑えられます。また、生活の自由度が高いのも魅力的です。
有料老人ホームのデメリット
介護付、住宅型、いずれにしろ高額な入居時一時金が必要になるケースも少なくないので、サ高住に比べて入居が難しい印象があります。
介護付は、外部の介護サービスが利用できない、また介護度が低い人でも自己負担額を一定額支払う必要があるので、要介護度の低い人にとっては割高な施設と感じられるかもしれません。
住宅型は、利用した介護サービスごとに費用が発生するため、利用の仕方によっては想像以上に費用負担が大きくなる可能性があります。また、要介護度が高くなると、施設退去が必要となるケースも出てくるでしょう。
まとめ
介護が必要な親、一人で生活をさせるのは不安な親を入居させられる施設の選択肢は、多くあります。利用する側からすると、選択肢が多いうえに違いもわかりにくく選びづらいと感じるかもしれませんね。
しかし、サ高住や有料老人ホーム、それぞれの特徴を押さえることで、親にも充実した毎日を送ってもらえるようになるはずです。充実した生活をしている親を見られるのは、子供にとっても嬉しいことです。
本人の状況によって適した施設は変わってきますから、しっかりと見極めて施設を選びましょう。