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【必見】介護 事故防止に | 現場に求められる早急な課題!

よく新聞やニュースで取り沙汰される介護現場における事故。

相手は高齢者だけに、介護現場は事故のリスクと常に隣り合わせです。

事故はヒヤリハットと呼ばれる些細なものから、後遺症が残ったり最悪の場合死に至ったりするものまで、その被害や影響度に大きな差があります。

なぜ事故は起こるのでしょうか?

どんな事故にも何らかの原因があり、偶然起こることはごく稀です。
それぞれの原因に対して、対策を講じることで事故を未然に防ぐことができます。
利用者の安心かつ安全な暮らしのために、介護者が注意すべき点についてお伝えします。

   

介護事故には様々な種類がある

  


  

介護現場で発生する事故にはどのようなものがあるでしょうか?
事故の要因となるのは、大きく分けて利用者・介護者・環境の3つです。
要因別に主な事故を挙げると、以下の通りになります。
  

利用者が要因となる事故

●転倒・転落
●誤飲・誤嚥
●異食
●離設(施設を離れて行方不明となる)
 

介護者が要因となる事故

●身体介助中の事故
●誤薬・服薬漏れ
●紛失・破損
●その他介護ミス
 

環境が要因となる事故

●転倒・転落
●異食・誤飲
●感染症・食中毒
●熱中症・脱水症
  
ここで注目すべきなのは、利用者に限らず環境による要因でも転倒・転落や異食・誤飲は起こりうる点です。通行の妨げとなる障害物の片付けや福祉用具の動作チェック、利用者の手の届くところに薬品を置かないことで、環境を要因とする事故の発生率を下げられます。

特に多い転倒・転落事故

過去の経験からもっとも多い事故は転倒・転落事故です。
介護現場における事故のうち、全体の8割を占めているというデータもあります。

  

介助中の介護者の過失による事故の割合は少なく、居室内など介助者の目の届かない場所での事故が大多数を占めています。
前者の方がメディアで目や耳に触れる機会が多いため、意外かもしれません。

  
しかし現実は違います。
 
デイサービスやグループホームなど、利用者が目の届く範囲で過ごすことの多い施設は介護者の見守りがあるため、事故が起こるケースは比較的少ないといえます。
逆に居室がある施設の場合、利用者が一人で過ごす時間が長くなるため、室内で転倒したりベッドや車イスから転落したりするリスクは高くなります。
認知症などの理由で夜間徘徊をされる利用者は転倒・転落のリスクがさらに上がります。

   

転倒・転落事故で注意が必要なのは、骨折を伴う場合がある点です。
特に頭部打撲が明らかな場合、速やかに受診または救急搬送の対処をとる必要があります。
 
その場は意識清明であっても、時間が経過してから発熱などの症状が出たり、脳内で出血をしている場合には後遺症が残ったりする可能性があります。
  

昨日まで元気だった利用者が一度きりの転倒によって、入院生活を余儀なくされたり、退院後もADLの低下によって車椅子や寝たきりになったりするケースを嫌というほど見てきました。
 
事故防止のために利用者の見守りは確かに大切です。
  

そうかと言って、度が過ぎると身体拘束につながる恐れがあります。
自身に置き換えると分かると思いますが、一日中監視されているように感じたら、全く気が休まらず、息が詰まってしまいます。
 
利用者の行動に制限を掛けるのは身体拘束であり、望ましくありません。
 
そればかりか介護者に対する不信感を生み、予測不能な行動が新たな事故を発生させる火種となりかねません。
 
事故とは一見関係がないように思える利用者との信頼関係が、リスクを軽減する役割を果たしているとは驚きです。

   

事故防止のために必要なこと

ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)をご存知でしょうか?

1件の重大な事故の裏には29件の小さな事故があり、その裏には300件のヒヤリハットと呼ばれる事故には至らなかった危険な事例が含まれるという法則です。
この法則は事故に至る一歩手前の危険事例を数多く集めることによって、重大な事故の防止に繋がることを意味しています。

この法則にならって、実際の介護現場でヒヤリハット報告書の提出を促したり、過去に起きた事故を再検証したりする取り組みが有効であると考えられます。

とはいえ、これですべての事故を防げるとは言い切れません。
いくら細心の注意を払っていても、人間が行うことにミスは付き物です。

介護現場では「まさか!」の事故が少なからず存在します。
自分が事故を起こしてしまった後、こう思ったことはないでしょうか?
「ちゃんと伝えたつもりだった」
「うっかり忘れてしまった」
「確認をしなかった」
etc.

人間であれば誰しも起こり得ることです。

「注意が足りない」とか「もっと慎重に」といくら注意をしたところで、まったく意味がありません。
時間が経てば他の職員が同じミスを繰り返してしまい、事故はいっこうに無くなりません。

過去の職場で同じ経験をしてきたので分かります。

なぜ事故が無くならないかというと、本当の原因が把握できていないからです。

前述のとおり、事故の要因には利用者・介護者・環境の3つあります。

・利用者の体調や気分に問題はなかったか?
・介護者の精神状態に問題はなかったか?
・福祉用具など人間以外のものに問題はなかったか?

これらについて、改めて考えてみる必要があります。
そうすることで、「注意深く」「もっと慎重に」という対策は意味がないと気付くかもしれません。

加えて誰かがミスをした際、他の職員がミスに気が付くようにシステム化することが肝心です。
服薬ミスを例に挙げると、服薬後の空袋を元の服薬BOXに戻すことがそれに当たります。
BOXに薬が落ちていたり、服薬漏れがあったりした場合でもミスに気付くことができます。

介護現場の事故には防げる事故と防げない事故があります。
私たちが取り組むべきなのは、人為的な「防げる事故」を防ぐことです。

最近特に報じられるのが、高齢者人口の増加と労働者人口の減少の問題。
政府の試算によると、2035年には65歳以上の高齢者が総人口の3分の1を占め、約80万人の介護人材が不足すると言われています。
外国人労働者の雇用と共に進められているのが、AI・ロボットやICT技術の導入。

高齢者との言語的コミュニケーション面では、技術的にまだ追い付いていない印象を受けますが、廊下や共有スペースなどの人の目が届かない範囲の見守りなどに実用化されています。

大量かつ高速な処理を得意とするICTは、ケアプランや介護記録などのペーパーレス化やデータ集計・分析、一元管理などの事務処理にも適しています。

介護人材不足が予想される今後、生産性向上や業務効率化に向け、業界全体でICT化がますます進むことは間違いないでしょう。
今は高齢者もスマホやタブレットを使いこなす時代。

若い私たちが「どうも機械操作は苦手で…」なんて言っていられません!

単純作業は機械に任せ、本来行なうべき利用者のケアに専念できれば、事故発生のリスクも軽減できるのではないでしょうか。

まとめ

利用者の状態は毎日変化しています。

そのため、事故対策も常に見直し・更新を続ける必要があります。

介護職員だけでなく、医療従事者やケアマネなど事業所内全体の情報共有も不可欠です。

大前提として忘れてはならないのは、人間は誰しもミスをするということ。
事故の本当の原因を把握し、再発を防ぐためにどうするべきかをチーム全員で考えることが重要です。

誰かが起こした事故でも自分事として捉え、チームケアを常に心掛けましょう。